産学官の取り組みについて

産学官の取り組みについて

2021年4月20日
株式会社ドリームリンク
代表取締役 村上雅彦

2021年4月12日に発表いたしました「男鹿海洋高等学校」「男鹿市」「ドリームリンク」による産学官の取り組みについて、その経緯などを記します。

専門学部に経営学を

常日頃、思っていることがあります。それは「日本の専門学部に経営学が盛り込まれていない」ということです。これは日本の将来を考えた場合、大きなマイナスになると思います。「考える」「作る」「捕獲する」「育成する」「加工する」「開発する」など物を作るための技術は言うまでもなく大切ですが、それだけでは、世の中で勝ち抜いていくことは難しいと思います。「物を作る力」に「物を売る力」、すなわち「経営学」が伴って初めて世間で生きていく能力になると思うのです。

日本では「農学部」「水産学部」「工学部」「教育学部」「デザイン学部」「語学部」「法学部」「文学部」「理学部」「薬学部」「美術学部」「体育学部」・・・。おそらく商学部を除く全ての専門学部に「経営学」が盛り込まれておりません。例えば「医学部」。ドクターになるために様々な知識や技術の教育は必要です。これは物づくりで言えば「作る力」すなわち「技術力」です。しかし、より良い医療を施すためにはその素晴らしい技術を「売る力」。すなわち「経営力」も合わせて必要だと思うのです。

経営に失敗をした開業医から話を聞いたことがあります。その先生は使命感に燃え、地域の為に自分の技術と知識、そして経験を役に立てようと高い志で開業されました。しかし、経営はうまくいかず、連日金策に追われ、診療は手につかなくなったそうです。

一方、経営がうまくいっている開業医と話す機会は多々あります。彼らの目はキラキラと輝いており、使命感に燃え、CT をはじめとする高価な医療器材、歯科医の先生は最先端のエアーフローなどを導入し、より良い医療を施せる環境を整えておりました。さらに成功された先生は、様々な分野のドクターを雇用、「総合病院」となり、地域に広い間口と、より高度な医療の提供とともに、若手ドクターの育成という素晴らしい成果をあげておられました。

前者と後者のドクターは、ともに高い志のもとに、道を突き進んだのですが、違う結果となりました。その要因の一つに、「成功するためには「知識」「技術」「経験」だけではなく、「経営」という能力も必要である」というのが私の考えです。経済的成功は、町の小さなクリックを総合病院に育て上げたドクターのように「次の手」を打てることに繋がります。

「作る力」と「売る力」を違った視点で例えてみます。AさんとBさんがおります。Aさんには高い技術があり、素晴らしい物をつくる能力があります。しかしAさんは経営能力に乏しく、作った物は誰の目にもふれずに売れ残っておりました。一方、技術力が平凡なBさんが作るものは、世間で流通している大衆品です。しかし、Bさんは、高い経営能力を持っており、どこにでもある大衆品をたくさん売る力を持っておりました。Bさんの生産は追い付かず、やがて大きな工場を設立、優秀な技術者Aさんを雇用、世の中に役に立つ素晴らしい製品を次から次へとAさんと開発し、総合メーカーとなりました。

このような話は世の中にあふれております。これが経営学です。経営学を兼ね備えた優秀な技術者の育成は、世界での競争にも打ち勝つ力を持ちます。つまり外貨を稼げる日本人を育てることにつながります。「専門学部に経営学を」そのきっかけが秋田県立男鹿海洋高校から始まればと願っております。

これが経営学です。経営学を兼ね備えた優秀な技術者の育成は、世界での競争にも打ち勝つ力を持ちます。つまり外貨を稼げる日本人を育てることにつながります。「専門学部に経営学を」そのきっかけが秋田県立男鹿海洋高校から始まればと願っております。

秋田県の全高校が日本一を目指す

「学力日本一」の実績を有し、トップクラスの教育レベルを誇る秋田県。このタイミングを逃さず「秋田県全高校が日本一を目指す」というスローガンを打ち立てれば、全教育現場が明確かつ共通の目標を持つことになるはずです。それは「教える側」「教えられる側」の双方に教育県としての自覚を促し、優秀な人材を育成する地位を確固たるものにできるのではないかと考えております。

目指す日本一は「学業」に限りません。「芸術」「文化」「伝統」「芸能」「スポーツ」、どんな分野でも良いと思います。巣立って行く生徒へ「日本一」という「称号」と「誇り」を持たせてやることは、社会に出てからの大きな「自信」となります。秋田県の全高校が「何かで日本一を目指す」。今回の取り組みが、その第一歩となることを目標の一つに掲げたいと考えました。

男鹿海洋高校を日本一にする

現在、男鹿海洋高校に県外からの生徒は2人しかおりません。「県外からの入学者数日本一の海洋高校」。これを目標に据えたらどうかと考えました。

男鹿海洋高校では実習授業として「サバ缶」の製造を行っております。これは前述の「技術」です。私たちはこれに「経営」を加えます。「技術」と「経営」を学んだ卒業生は、食品加工会社にとって魅力ある存在となるはずです。全国の食品加工会社のご子息が集まる学校になることを目標の一つに掲げてはどうかと思います。「お預かりしたご子息を一人前にしてお返しする」ことを教育の目標に掲げ、その実績を繰り返していけば、やがてその成果は広く伝わり「男鹿へ3年間勉強に行って来い」と言われる高校になるはずです。現在全国に海洋高校は 46校あるそうです。男鹿海洋高校は「県外からの入学者数日本一の海洋高校」を目指してはどうかと思います。

男鹿市に食品加工工場を造る

日本一の学校がある地域には、日本一にまつわる産業や文化が派生します。男鹿市の場合は食品加工業がその一つになります。

以前、千葉県銚子市に呼ばれ「この地域の活性化のために力を貸してほしい」というお話しを頂いたことがありました。初めて銚子の街並みを見たとき、漁港の雰囲気が秋田県と違うことを感じました。「銚子市の主力産業はなんですか?」「水産加工業です。ここの水揚げは日本一なのです」「なぜ魚が集まるのですか?」「水産加工工場の数が日本一だからです」。このような会話がありました。私はすぐに男鹿市長へ電話をしました。「男鹿市に水産加工工場はいくつありますか?」「残念ながら多くありません」。

「捕獲した物」を高く売る方法は「付加価値をつけて売る」売り方です。安く売る方法は「そのまま売る」売り方です。残念ながら秋田県で一番の水揚げ量を誇る男鹿市は、その時点で「そのまま売る」という原始的な方法で漁業にまつわる産業を営んでおりました。

私たちは男鹿市の素晴らしい魚介類に付加価値をつけるため、食品加工工場を設立、卒業生を雇用しようと考えております。技術と経営を学んだ卒業生の力は男鹿市に新たな地場産業を創っていく力になると考えます。

高齢化がすすむ男鹿市に若い人口を増やす

食品加工工場で毎年2人の卒業生を雇用したら10年で20人の雇用となります。20人が結婚し、4人家族を構成すれば80人の若い人口が男鹿市に誕生することになります。2021年3月現在、男鹿市の人口は25,973人、高齢化率47,19%(65歳以上が人口に占める割合)です。若い20世帯がつくる若い80人の人口増は「産学官」の成果物の一つだと考えます。また、地元の生徒を雇用すれば、その生徒たちは親元を離れずに親孝行が叶います。若者の就職口に乏しい男鹿市にとってこれも大きい産物になると思います。

※計画では 2020年12月の工場設立を考えていましたが、飲食業が事業主体となっております弊社は、コロナ禍で厳しい経営環境に置かれ、計画を延期せざるを得ませんでした。コロナ禍を乗り切り、私たちができる活動を再開し、地域のためにお役にたてるよう頑張る決意です。

卒業記念として男鹿市の特産を毎年一品つくる

4月からスタート、10月までその年の生徒が作る商品を決定、1月に完成、2月の卒業前にご父兄に商品をレストランで披露する試食会、3月の卒業とともに新しい男鹿市の特産として全国発売。このサイクルを作りたいと考えております。

毎年、生徒は男鹿の食材を使った特産を一品作り巣立って行くことになります。それが商品となり全国へ流通していたら「これは俺たちが学生時代に作ったものだぞ」と自慢できます。その「思い出」と「経験」は、卒業生が行き詰った時、彼らを助ける力となるはずです。

積み重ねていく

「産学官」のこの取り組みは、10年後には10の新しい男鹿特産品を生むことになります。これは男鹿市の観光や生産者にとって大きな宝物となるはずです。「産学官」で力を合わせ素晴らしい未来を創れたらと願います。

ニュース

2021年4月12日(ABS秋田放送news every.)

2021年4月12日(AKT秋田テレビLiveNewsあきた)

新聞記事


2021年4月13日(魁新報)


2021年4月15日(読売新聞)


2021年4月13日(日経新聞)

私たちと一緒に働きませんか?