新型コロナウイルスで今思う事

2021年7月31日
株式会社ドリームリンク
代表取締役 村上雅彦

 2020年春、全世界で猛威を振るう新型コロナウィルスの流行により発令された緊急事態宣言が5月14日、39県で解除されました。それを踏まえ「今思う事」を書き留めはじめました。2022年1月現在、いまだ終息の兆しは見えませんがこれまでの「今思う事」をここにまとめました。

新型コロナウイルスで今思う事 1 (2020年5月18日)

 コロナは3つの要因で人の命を奪います。1つ目は「ウイルス」による病死です。2つ目は「経済悪化」による自殺です。 3つめは誹謗中傷による自殺です。

 今までは「1つ目のウイルスによる病死」を防ぐ為に、政府と国民が取り組んで参り、日本は一体となり効果をあげました。その素晴らしい結果を踏まえ、39県の緊急事態宣言解除に至りました。日本を誇りに思います。 これからは感染拡大状況等を睨みながら、人の命を奪う2つ目の要因である「経済悪化」に対する自殺者撲滅を目指す新しいステージに入ったと思います。

 先日、新聞社の取材がありました。「コロナの収束時期は?」との難しい問いに「ワクチンの開発と、その普及時間」とありきたりの回答をしました。「経済の回復時期は?」とのまた難しい質問には「ワクチンが無い状況で経済回復の大きな契機をつくるためには、経団連など経済界を代表する大きな組織が行政と連携し「感染拡大状況」「医療機関の状況」を踏まえ、夜の会食禁止解除のガイドラインを示す事」と答えました。

 現在の「経済悪化」の大きな要因として「夜の街が閑散としている」ことがあります。それは日本を代表するほぼ全ての大企業が、営業自粛要請解除後も「夜の会食の禁止」を発令していることが大きな要因です。結果、本来夜だけの営業であった居酒屋等がこぞって弁当販売などに取り組んでおります。しかし国民の胃袋は限られております。あらゆる飲食店が全国で一斉に弁当販売を始めたことは、国民の胃袋を越える供給過剰を招き、弁当は残り、本来競合しない、昼の外食店舗にも迷惑をかけてしまう共倒れ事態を招いております。

 現状を見ますと自粛要請解除後も、39県に拠点がある大企業のほとんどで、夜の会食禁止の解除はなされておりません。今の状況では夜の宴席や接待などによりクラスターを発生させてしまえば責任問題となるような世間の雰囲気です。それは企業イメージに大きなダメージを与えます。その様な環境下では、我先に解除をすることは出来ないと思います。39の県が新しいステージに立った今、経済界が行政と連携し「夜の会食禁止解除のガイドライン」を作り、示して行く事が経済回復の大きな契機、つまりは経済悪化による自殺者を防ぐスタートになるのではないかと思います。例えば「株式会社〇〇〇は、経団連のガイドラインに従い、夜の会食禁止要請を〇〇県において一部解除を行う。内容はガイドラインに従い〇人以内の会食に留め、〇時間以内で切り上げる事」という様なイメージです。
※感染者状況、医療状況等により「第一ステージ」「第二ステージ」「第三ステージ」などあった方が良いように思います。

 この様なガイドラインがあれば多くの大企業は安心して解除が出来ます。ガイドラインに従った上でのクラスター発生はその企業の問題にならないはずです。そして、その宣言は傘下の中小企業へと広がり、経済団体などに所属していない多くの企業のガイドラインにつながり、景気回復の大きなきっかけになると考えます。

 3つ目の「誹謗中傷」による死。これは「ウイルス」や「経済悪化」という外的要因による死ではありません。「わたし」が要因です。簡単に拡散させることも出来ますし、終息させることも出来るのです。1つ目の「ウイルスによる死」はワクチンや治療薬の開発で収束へ向かいます。舞台の主役は研究者の方々です。2つ目の「経済悪化による死」は政府と国民が一体となれば防げます。主役は政府と国民です。3つめの「誹謗中傷による死」はいつでも防げます。主役は「わたし」です。

 コロナは3つの要因で「人の命を奪います」。日本人は見事に第一の要因に立ち向かい、成果をあげました。しかし、ワクチンが無い中での緊急事態宣言解除です。これからもコロナは3つの要因で人の命を奪うはずです。スクラムを組んで頑張りましょう!オールジャパンで!

新型コロナウイルスで今思う事 2 (2020年12月1日)

 12月になり新型コロナウイルスの第3波が押し寄せました。私ども外食産業の仲間にとりましては忘年会という大きな行事がある月です。そして大切な私たちのスタッフのボーナスも例年この稼ぎでまかなっておりました。しかし今年はボーナスを払えない環境におります。

 「夜の街」と言う言葉が連日ニュースで伝えられております。その影響を私たちは受けております。コロナは何が正しいのかわりません。「安倍のマスク」に対する批判を聞きます。でも、あの頃を思い出して下さい。世界中にマスクがなくなりました。その環境下で日本国民にマスクを配布しなければという日本のトップの純粋な気持ちでないのかなと思います。しかし配布が遅れ批判される。歴史を振り返って「こうするべきだった」と論評するのは簡単です。それは結果を見ての結論であり誰でもできます。今、未曽有の事態に身を置いている私たちに大切な事は、批判を恐れず、意見を述べた勇気ある方々への批判をしないことではないでしょうか。

 コロナ禍の結論は歴史で証明されると思います。誰の意見が正しかったのかと検証されるでしょう。安倍のマスクの批評は100年後の子孫がすることで、渦中にいる我々は批判を恐れず「今出来る事」をやる事だと思います。誰かが言った「今出来る事」が結果として間違っていたら、それを責めるのではなく軌道修正する。「では今何をするべきか?」を真剣に考え、意見を述べた方々の勇気ある失敗を 100 年に 1 回あると言われる未曽有の事態に備えるべき子孫の為にも、大切に、大切に、記録をしていくべきべきではないかと思います。

新型コロナウイルスで今思う事 3 (2021年4月12日)

 本日、全国のスタッフにむけてお詫びを致しました。お詫びの内容は昨年発した「新型コロナウイスによる弊社の影響予測」が大きく外れたことについてです。2020年の夏ころ、「新型コロナウイルスは来年(2021年)6月頃にはいったん落ち着くと思う。そして7月頃からは会社の業績も回復してくると予測する。それまで頑張ってほしい。」という講和をスタッフに伝えました。何を根拠にそのように発信したのか、もう少し詳しく記します。

根拠 1 オリンピック開催国である日本は、安全な環境を構築したうえで、世界から人々を迎え入れる責任がある。集団免疫をどこの国よりも早く得ることに世界から理解を得られるはずだ。

 2021年7月23日、東京オリンピックは開催されます。「日本は開催国として安全な国土で世界の人々を迎え入れる責任がある。そのひとつの方法は6月までに集団免疫をもつことであります。世界中から集まる選手団、関係者、観客を安全な環境でお迎えするために、そして平和の祭典であるオリンピックをこの乱世に成功させるという世界平和のために協力をして頂きたい」。と世界各国へワクチン確保の協力をお願いできる世界で唯一のカードを日本は使うと思う」。というのが最初の根拠、と言うよりも希望的観測でした。しかし、予想は大きく外れ先進国で最も遅いスタートとなってしまいました。

根拠 2 春になると桜が咲く。

 桜の開花とともに日本は春が訪れ暖かくなります。インフルエンザをみる限り「ウイルスは高温に弱いはずである」というのが 2 番目の根拠でした。しかし4月12日現在、変異株の登場により、新型コロナウイルスは収まるどころか猛威を振るい、まん延防止重点措置と呼ばれる新しい対策が、宮城県、大阪府、兵庫県に続き、東京都、京都府、沖縄県までも本日より発令となりました。春になっても感染拡大が止まらない今回の第4波は、「今までのどの波よりも厳しい波」と感じております。

根拠 3 コロナウイルスとの付き合い方が解明されてくるはずである。

 2020年1月から始まったコロナ禍。2021年の6月には感染発覚から18ヶ月目となります。まだ半年ほどしか経っていない 2020年夏(講和を発令した頃)でもコロナとの付き合い方は「感染経路」「予防対策」「治療法」など様々なことが解明されてきておりました。コロナが世界へ蔓延し始めた頃に感じた「人類を滅ぼすかもしれない未知の新ウイルス」というあの恐怖から比べると随分と開放されたと感じておりました。そこから1年先である2021年6月には「ウイルスとの付き合い方」が更に解明されているはずである。というのが3つ目の根拠でした。確かに解明はすすみましたが、感染力の強い変異ウイルスの登場、ワクチン接種率が低迷していることなど、により第4波の襲来は目の前にあります。
さらに、当初「屋形船」から始まり、「ライブハウス」「パチンコ店」「映画館」「エステ」などと言われていた急所はどんどん変化。現在、「急所は会食である」となりました。私たちの産業に関していえば、業績回復どころか、業績悪化となっております。

 以上、私の予測は大きく外れてしまいました。結果「2021年6月まで頑張ろう!」という掛け声に応え、歯を食いしばって取り組んできてくれたスタッフへ、更なる頑張りを強いなければならないことになりました。経費削減のため、寒い中、暖房をつけずに営業時間外の作業に取り組んでくれたスタッフたち。本来6名体制の店を、2名体制まで人件費を切り詰め、笑顔で走りまわって店を回してくれたスタッフたち1つ1つの現場が血の滲むような努力を惜しまず会社を支えてくれております。心よりお詫びをしました。

 ワクチン開発は異例の速度で成し遂げられました。「日本が人口の75%に接種を行い、集団免疫をもつのは10月頃という報道がイギリスの調査会社「Airfinity」により示された」とニュースで報じられております。日本の人口は1億2,500万人ですので9,400万人が人口の75%にあたります。菅総理は本日「6月までに1億回分のワクチンが届く」と発表されました。1人2回接種として 5,000万人分の本数になります。75%まであと4,400万人、8,800万回分のワクチンを確保し、接種が完了すれば日本は集団免疫を持ちます。医療従事者、高齢者は4,000万人といわれておりますので6月には病床逼迫率もある程度改善されていることになります。

 コロナは必ず収束します。コロナの収束は今まで我慢を強いられてきたものが解禁になることを意味します。「旅行していいですよ」「宴会してください」「堂々と会食をして下さい」これがアフターコロナだと思います。その時、苦戦を強いられている我々の産業に光が差し込むはずです。それを信じ、次々と押し寄せる新たな状況に一致団結し取り組んで参る覚悟を再度本日スタッフと共有できたと感じました。あらためてドリームリンクスタッフの素晴らしさを感じたとともに、誇りに思いました。再度、我がスタッフへ御礼を申し述べたいと思います。ありがとうございます。

 新型コロナウイルスで今思う事 4 (2021年6月21日)

 ワクチンの接種がどんどん進んで来ております。ドリームリンクとしてこの環境下、コロナ撲滅の為に何ができるのかを考え「飲食業における新型コロナウイスワクチン職域接種」を実施しようと思います。

 「秋田県の飲食業における新型コロナウイルスワクチン職域接種」実施について

 新型コロナウイルスが日本へ上陸して約18カ月が経ちました。振り返ってみますと、豪華客船から始まり、屋形船、ライブハウスなど様々な業種が急所と言われて来ました。そして最終的には「夜の街」という言葉とともに「会食」が急所であるとなり、飲食店への自粛や休業要請が氾濫する中、我々飲食店は大変な苦境へ追いやられております。

 そんな中、民間による自主的なワクチン接種、いわゆる「職域接種」がスタートするというニュースを聞いて一筋の光が見え、希望を見出しました。しかし翌日、河野太郎大臣から「職域接種は1,000人以上」と発表になりました。これはワクチンの輸送単位の問題と短時間での効率的な接種の為だと思いますので賛成で異論はございません。ただ、飲食店の多くは夫婦、家族などにアルバイトを加えた数人で営んでいる零細組織です。急所と言われコロナ感染防止のターゲットとなり、経済的に窮地に追い込まれている飲食店は、職域接種において残念ながら現在、蚊帳の外に置かれております。1,000人以上と言われた瞬間、多くの飲食店が諦めたのではないでしょうか。

 本事業は、その様な環境下、歯を食いしばって頑張っている飲食店の役に立ちたいという趣旨の下、飲食店に関わるワクチン接種希望者を秋田県内で1,000人以上集めることを目的としてスタートします。不特定多数の方々と接する飲食業界の方々がワクチンを接種することは感染予防に大きく貢献するはずです。また、飲食店では学生を始めとする多くの若者が働いております。彼らへのワクチン接種が本事業を通し加速することは感染予防に大きく貢献するはずです。本事業の推進が飲食業界への救済とワクチン接種率上昇の貢献となることを願います。

 「秋田県の飲食業における新型コロナウイルスワクチン職域接種」の目的について

1、 秋田県内にある飲食店運営会社、並びに飲食店へ声掛けを行い、ワクチン接種希望者を1,000人以上集め飲食業界での職域接種を行うことを目的とし下記を実現する。
2、 不特定多数と接する飲食店関係者の安全を確保する。
3、 お客様に安心してご来店頂ける「飲食空間」の普及と促進を目指す。
4、 秋田県のワクチン接種における地域負担の軽減とともに、接種の加速化を目指し、政府が掲げる「1日100万回接種」実現に向け全面的に協力をする。

3 つのハードル

この事業をすすめていくには 3 つの大きなハードルがございます。
1、1,000人の接種希望者を集めること。
2、1,000人へワクチンを接種して下さる医師、看護師を手当すること。
3、大きな接種会場を確保すること。

関係機関と連絡をとり実現の為に本事業を迅速にすすめて参ります。

新型コロナウイルスで今思う事 5 (2021年7月31日)

 東京オリンピック2020が開催される一方、コロナ感染は急激に拡大しております。報道に目を通していると「オリンピックが開催されているのに、国民には自粛しろと言われても矛盾を感じる」という類の声を多くの国民、評論家が発しております。感情的にはたしかにそう思いたくなります。しかし、オリンピック選手とコロナ感染拡大防止において求められる国民の行動を一緒に考えてはならないと思うのです。

 オリンピックを目標に、選手は想像を絶する努力をしてきたはずです。幼い頃から多くの事を犠牲にし、文字通り血の滲む様な努力を積み重ねてきたと思います。その晴れの舞台がオリンピックなのです。そして選手には最高のパフォーマンスを発揮できる適齢年齢があります。適齢年齢を考えると4年に1度の大会であるオリンピックの「東京 2020」が全てという選手も多くいると思います。幼い頃から努力を重ね、適齢年齢になってようやく勝ち取った出場権。迎え入れる側の我々日本国民は、努力のすえ世界中から日本へ来た選手が批判されないためにも、自分達と選手を一緒の土俵で考えてしまい「選手はオリンピックをやっているのに、我々には我慢しろと言われても」というような考え方に立つのではなく、「選手が批判されることなく思いっきり頑張ってもらうためにも我慢しよう」という考え方に立ち、今は堪えるところではないでしょうか。

 歴史を見ると、かつて多くの選手が未曽有の事態の犠牲になっております。戦争による開催中止、政治的理由による出場ボイコットなど、選手達と関係ない事で多くの選手が犠牲になりました。コロナも選手の責任ではありません。コロナという未曽有の事態の 最中に日本に来た選手達には、気持ちよくプレーしてもらい、気持ちよく帰って頂きたいものだと思います。日本人はその実現の為に「批判」ではなく「協力」という言葉で「団結」するべき時だと思うのです。そして、その考えと行動が感染防止に繋がり、やがてはコロナ撲滅にも繋がると思うのです。

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