東日本大震災について今思う事

平成23年5月10日

 震災から2カ月が経ちます。この度の震災では多くの方々がたいへんな思いをされました。被災された方々には心よりお見舞いを申し上げます。私たちのスタッフの中にも親御様が亡くなったり、家を流されたりという方がおります。本当に悲しいことです。震災は突然のことでスタッフ全員が面喰ってしまいました。震災の爪痕はまだ残っております。そして復興もまだまだ始まったばかりです。ただ、今振り返ってみて、私たちドリームリンクグループに何が出来たのかを思い起こしてみました。そして今後入社してくる新しいスタッフの為にもここに書いて記録しておきたいと思いました。

 震災当日は停電になりました。電話もつながらず多くの情報源が断たれました。まさか、この様な大震災の始まりだという意識はまだありませんでした。そんな中、首都圏では交通網が麻痺し、帰宅難民の方々が駅前に溢れているという情報が入ってきました。当社の首都圏の店舗は駅前や繁華街にあります。最初にできた行動は、帰宅難民の方々をお店にご案内することでした。「帰宅手段のない方々は当店でお休みください。お店を無料で開放しております」という様な貼紙を各々の店で作成して店頭へ貼り、手が空いているスタッフは店頭で告知を行いました。多くの方々がご飯を召し上がっておりませんでしたので、豚汁などを各店の判断で無料でお配りすることが出来ました。

 翌日になり、東北地方はライフラインが機能せず、食糧がなくなっているということを把握しました。弊社は秋田に本社があります。秋田も食料品店やスーパーから食糧や水が消え、コンビニなどは閉店している状態でした。弊社は食べ物屋です。食材は店にあります。その食材を使い炊き出しを無料にてお配りすることができました。ガスが使える店はお米を炊いてオムスビを店頭でお分けしたり、洋食の店ではリゾットを作って店内でふるまったりすることができました。ガスも電気も使えない店は宴会用の卓上カセットコンロで寄せ鍋を作って店頭でお分けしたり、炭火を起こしてお餅を焼いたりしてお配りすることができました。ここで私たちは大変有意義な経験をすることができたと思います。朝から食事をとられてない方も大勢いらっしゃり「温かいものを食べれてうれしい!」「ありがとう!」「美味しい!美味しい!」というお言葉を頂けたり、「もらってばかりじゃ悪いから」ということでチョコレートを頂いたりと逆に私たちがお世話になってしまいました。スタッフの日報には「この商売にかかわっていて良かった!」「食糧をふるまう事により、喜んで頂けて涙が溢れてきました!」「サービスや笑顔を通じて人を幸せにできるんだとわかりました!」「お客様から涙ながらに、ありがとうと言われてこみ上げてくるものがありました!」などということが書かれておりました。

 この炊き出しはライフラインが復旧し、食糧などが確保できるとその地域のスタッフが判断するまで各々の地域で続けることができました。仙台のある店では、毎日約1,000食のおかゆやスープなどを配ることができました。当時は町に本当に食糧がなかったのです。店の前には約700名近い行列が連日できました。小さなお店なので作っては盛り、作っては盛りという作業が朝から晩まで続きました。弱音を吐かずに頑張ったスタッフには本当に「ご苦労さん!」と言いたいです。また、大変うれしい出来事がありました。近所のドーナッツ屋さんが「使ってください」と玉子を差し入れて下さったのです。自分のところでは炊き出しが出来ないので炊き出しをしている当店で活用して欲しいということでした。その玉子は玉子スープとなりました。この善意にスタッフは「頑張るぞ!」という更なる勇気が湧いてきたそうです。

 現在は復興支援メニューや復興支援宴会コースなど売上の一部を寄付するメニューを設けて全国の店舗のお客様からご注文のご協力を頂いております。この善意に私たちの会社の気持ちを積みまし、義援金とし岩手、宮城、福島の各県庁に寄付致します。また、岩手、宮城、福島の店では復興支援にいらしたボランティアや業者の方々への感謝の気持ちとして「復興でいらした方々への特別サービス」を気持ちばかりですが実施しております。この方々がいらっしゃるので復興にスピードがでます。町に活気がでます。ありがたいことです。

 日本は戦後の焼け野原から復興しました。世界から奇跡の復興と言われる復興を果たしました。高度成長を迎え、東京オリンピックで世界中に復興を宣言できました。偶然ですが、弊社で展開している昭和をテーマにした半兵ヱはこのころの日本をテーマにしたブランドです。夢に向かって日本が一丸となり立ち上がった頃の時代をテーマにしたブランドです。半兵ヱにいると「絶対に日本は復興する!」という思いを強く感じます。戦後の日本を復興してくれた先輩達に負けてはいられません。

 今回の震災を経て私たちは大きな経験を積むことが出来た様に思います。衣食住の「食」に係る商売をさせて頂いていることの意義に気づきました。そして、我々の商売は人々を幸せにすることができるんだということを改めて感じることができました。秋田にある小さな会社ですが、私たちの力で世の中の為に出来る事を一つでも多く見つけて実行できる会社でありたいと思いました。

株式会社ドリームリンク
代表取締役 村上雅彦

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